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イラストレーターもびっくり!
人工知能で自動着色するネットサービス!

2017/1/31 - IT, カルチャーしぶ

イラストレーターの仕事が減っちゃう!?
人工知能で自動着色するネットサービスを使ってみました!

いろんな分野での人工知能が随分と身近になってきましたが、先日taizanさんというエンジニアさんが線画をアップロードすると人工知能で着色するWebサービスを公開しました。
その名も「PaintsChainer」です。
イラストレーターもびっくりのこのサービス、どんなにすごいか紹介してまいります。

そもそも人工知能ってなに?

人工知能はずいぶん昔からある概念で、昭和生まれの方はAI(Artificial Intelligence=人工知能)っていう言葉でなじみがあったと思います。
昔の人工知能は「人間っぽい思考があるように見える風にプログラムされているもの」であったのに対して、現在は「自らの経験を元に学習を行い最適な答えや作業結果を出すもの」が注目を浴びています。
大企業が医療や軍事の分野で活用を進めているものから、個人が趣味でエンターテイメントやジョークのために作っているものなど近い未来に実用化されそうなものからすでに身近になっているものまで様々なものがあります。
2016年は株式市場も人工知能関連銘柄が盛り上がった瞬間もあり「人工知能元年」などとも呼ばれました。

本題:PaintsChainerは何をしてくれるの?

簡潔に言えば、線画をアップロードしたら人工知能が自動的に着色してくれるサービスです。
ただこれが本当にすごい!
基本的に色合いなどは人工知能にお任せで全自動着色されますが、人工知能が「人間」というものを十分に理解しているようで肌の色、瞳の色などは自然な感じで着色されます。
もしも不自然な感じで着色されたとしても非常に芸術的な色彩でそれも魅力になりうるのですごいです。
これらを実現するためには人工知能にとってたくさんの経験学習が必要ですが開発者のtaizanさん曰く「60万枚くらいのイラストの線画とカラーのセットを使った」そうです。

もちろん、人工知能さんはまだまだ知らないことが多いのでキャラ物を描いたのに設定と色合いが全然違うという結果もたくさんあります。
その場合、「ここはこんな感じの色です」と指定してあげて人間と人工知能の共同作業で着色することもできます。

やってみよう!

【お願い】現在時間帯によってはアクセスが多くタイムアウトやエラーが発生しています。
3分くらい待っても結果が出ない場合は人が寝てそうな時間帯で改めて試してみてください。

まずは線画を用意…と思ったけどあいにく私は絵心がありません。
うちの社長に「プリキュアを描いて」とお願いしましたところ社長が快諾くださり30分後に「できた」とご報告いただきました。

まずはプリキュア(社長Ver)で!

社長さん30分の力作がこちらです。

キュア…なんだっけ?
この子キュアなんていうの…?

これをプリキュアといっても著作権侵害の心配はなさそうですが詐欺罪に問われる可能性がありそうですので以下「社長の絵」とぞんざいに扱うことにします。

線画をアップロードしてしばらく待つ(もしくは「Colorize」ボタンを押す)と右側に自動着色の結果が表示されます!

早い時は数秒、遅い時は2分~3分、3分待っても表示されないときは時間帯を改めたほうがよいでしょう。

水彩画のような柔らかいテイストで着色してくれるので「芸術的センスの高いイラストレーターが色を塗りました」と言ってもなんの疑いもでないクオリティでしょう。
私はこれだけで満足ですが社長さんにとってはイメージ違いがあるようで…

社長「頭のは花だ。あと、スカートは紺だ!」

このように、当然作者が納得しない結果となる場合があります。
その場合は「カラーヒント」機能で人工知能に「ここはこんな色っぽくお願いします」と指定できます。
このヒントはきれいに塗る必要がなくて色をぽつんと落としてあげる感じでOK
再度アップロードするとこの通り意向を汲んでくれることになりました。

ちなみに、カラーヒントを使うと人工知能の反骨精神からか指定色を混ぜた感じで背景もべたべたと塗ってくれます

社長「ニーソとか太もも周りはなんかこう!あるだろ!あと花の色がなんか気に入らない!」

こだわりやさんの社長さんは引き続き人工知能との対話を繰り返します。
そのたびに作者の意向を汲んでくれる人工知能さんはとてもけなげです。

社長の絵はさておき、萌え絵がいいって言ってるじゃんか…

社長の絵が一向に萌えないのでいったん自分で描いてみることにしました。

エーレフルヒト(白)のともみさんをイメージして描いてみましたが「え?この絵ってあのキャラじゃないの?」って思った方は自分の感性を大切にしてくれて大丈夫です
たぶんそれがこのイラストのベースです。

まずは全自動で着色をお願いしてみたらこんな感じです。

なんとなく最近のマクロスに出てきそうな感じ!
人工知能さんは比較的赤系の色を好んで使うようで血塗られた両手を持つ魔法少女が出来上がりました。

私も人工知能さんに対話を求めます。
「この辺はこんな色だと思うのですがいかがでしょうか?」
人工知能さんのご機嫌をうかがいながら緑色や髪の色をやんわりと指定しました。

カラーヒントで人工知能さんもばっちりと要望に応えてくれるのですが「はいはい!わかりましたよ!こうすればいいんでしょ!」って逆切れのように指定色で背景までたっぷり塗ってくれるのは安定の結果です。

マクロスに出てきそうなモブキャラから木属性の魔法少女に昇格したのは自動着色という点を考えれば大満足だし、自分のボキャブラリーにない色の混ぜ方や組み合わせを出してくれるのは本当に面白いなと思いました。

萌え絵はあきらめた、芸術点の高いイラストはないのか!

残念ながら社長と私の画力では芸術点の高いイラストの準備は難しそうです。
なので今回は、知り合いのイラストレーターにヘルプを出してささっと一枚描いていただきました。

描いたものを写メで送ってもらったので少し暗いし、紙も和紙のように少しぼこぼこしているようです。
でも、これはこれで面白いなと思い加工せずにノーヒントで人工知能さんに食べさせました。

ででーーーん!!!

繊細な線画のイラストがめっちゃ芸術的な着色で返ってきました!
しかも、キャラの雰囲気に合いすぎててびっくりするよ!
悪のラスボスに心酔して「ラスボスさまには指一本触れさせません」って主人公たちを最後一歩手前で徹底的に苦しめてくる最強少女の出来上がりです。

腕と腰の間のスペース部分を人工知能さんが「んー、マントかな?背景かな?」と悩んだ気配がしますが「わはははは!背景とつなげてうやむやにしてしまえ!」って感じで背景を塗ったのが伝わってきます。
そして、やっぱり積極的に赤色を使ってくれますね!

これ、本当に面白いサービスだ!

人工知能はイラストレーターを脅かす存在になりうるか?

私見ですが近い将来どんどんと人工知能が発達してゆけばイラストレーターの存在を脅かす面も出てくると思います。
「正解や目的がないイラスト」については人工知能で事足りるシーンがどんどん増えてくるでしょう。
ただ、「こうでなければならないという正解や明確な目的があるイラスト」においては我々が生きているうちはイラストレーターのお仕事になると思います。

「人工知能が私の仕事を奪いそうで怖い!」と感じるイラストレーターさんは今のうちに自分の強みの分析や、自分にしかない個性を磨いておいたほうがよさそうですね。
ただ、現状ではイラストレーターにとって「商売敵」ではなく「便利な着色方法の選択肢のひとつ」くらいにしかならないでしょう。(それも十分すごいのですが)

まとめ

予想外の結果でも予想通りでも本当に面白くてサービスで時間を忘れて遊んでしまいます。
現在はテスト中のためか処理結果の解像度が小さいのですが月に1,000円くらいの有料サービスで解像度が上がるようなプランがあったら使ってしまうだろうなと思いました。
開発者のtaizanさんのアイデアとクオリティの高さに感服するばかりです。

Paints Chainerデモサイト(動かして試せます) http://paintschainer.preferred.tech/

みんなの作品が見られるハッシュタグ #PaintsChainer

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